- ●FAT32のサポート
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「Windows95 ORS2」では採用されていた、「FAT32」がサポートされます。
従来のハードディスクをフォーマットすることなく、「FAT16」から「FAT32」へ移行するためのコンバータが用意されています。
(「FAT32」を「FAT16」へ戻すコンバータはありませんから、注意が必要です。)
「FAT32」へと切り替えるだけで、ハードディスクの無駄な使用領域が減り、ディスクが効率的に使用できるようになるため、空き容量が増加します。
この「FAT32」に関して、また空き容量が増える理由については、以下の2つの囲み内をお読み下さい。
FAT32(File Allocation Table 32) |
◇パーティションの最大容量
従来の「FAT16」では、1パーティションの最大容量は、2GBなため、例えば、3GBの容量のハードディスクを接続した場合、
必ず、2つのパーティションに区切らなくてはなりません。「FAT32」では、1パーティションの最大容量は、4TB(テラバイト)
となるため、事実上どんな容量でも1パーティションとして確保可能になります。
◇ディスクの無駄な領域の減少
また、クラスタサイズが 4KB と小さくなるため(FAT16では、最大32KB)、クラスタギャップが大幅に減少し、
結果として、「FAT32」に移行するだけで、かなりの空き容量が増えることになります。(「クラスタ」に関しては下記の囲みを参照)
データ内容にもよりますが、1GBぎりぎりまで使用している場合、100〜200MBは空くと考えることができます。
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クラスタサイズ |
「クラスタ」とは、ファイルをディスクに書き込む際の最小単位のことです。
もし、「クラスタサイズ」が「32KB」だとすると、たとえ1KBのファイルであっても、それを保存すると、32KBのディスクスペースを消費してしまうことになります。
その場合、実際のファイルサイズが1KB、消費された容量は32KBですから、31KBものスペースが無駄になってしまっているわけです。
あなたが、Windows95(FAT16)をお使いで、1GB以上のパーティションを確保しているなら、クラスタサイズは、32KBになっています。
現在のディスクの、一体どれほどの容量が無駄になっているでしょうね。Windowsを構成するファイル群には、32KBを下回る小さなファイルも数多く存在します。
それが、Windows98を導入し、FAT32へ切り替えるだけで、クラスタサイズは、一律 4KB という小ささになります。
1KBのファイルを書き込んでも、消費は 4KBだけ。無駄になるスペースは、3KBだけで済みます。
これが、FAT16をFAT32へ変更するだけで空き容量が大幅に増加する理由です。
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以上のことから、FAT32に変更した方が良いことは分かっていただけると思います。
(ただ、いいことばかりというわけではなく、デメリットもあります。デメリットに関しては下記を参照して下さい。)
FAT32は、Windows95のOSR2からサポートされていますから、既に使っている方もいらっしゃるかと思います。
Windows95-OSR2で、FAT16からFAT32へ切り替えようと思うと、ハードディスクのフォーマットから始めなくてはならず、
作業は大変です。そう簡単に切り替えられるものではありません。
しかし、Windows98では、専用のコンバータがあり、フォーマットすることなく、FAT32への切り替えが可能になっています。
コンバータは、うまく安全に作業を進めるようになっており、コンバート途中にシステムに異常が発生したとしても、元のデータが破壊されることのないようになっています。
参考までに、クラスタサイズの一覧表を掲載しておきます。
●クラスタサイズ一覧表
HDD容量 | FAT16(Win95) | FAT32(Win98) |
128〜255MB | 4KB | 確保不能※1 |
256〜511MB | 8KB |
512〜1023MB | 16KB | 4KB |
1024MB〜2048MB(2GB) | 32KB |
2GB〜8GB | 確保不能 |
8GB〜16GB | 8KB |
16〜32GB | 16KB |
32GB以上 | 32KB |
※1:「FAT32」では、1つのパーティションに、最低512MB以上の領域が必要です。
※TIPS※
正式な発表では、「FAT32」には、最低512MBの領域が必須となっていますが、MS-DOSモードで下記のように実行すれば、512MBを下回るパーティションでも「FAT32」にできるようです。
(TIPS情報提供:朋ちゃん様)
CVT x: /MIN /CVT32 ※「x:」は、ドライブ名です。
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- ●「FAT32」のデメリット
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先に解説したように「FAT32」に変更すれば、いいことばかりのようにも思えますが、デメリットも存在します。
次の項目に該当する場合は、導入は見合わせた方が良いでしょう。
- MS-DOSからHDDへアクセスする可能性のある場合。
- WindowsNTとHDDを共有している場合。
- ドライブスペースを用いて、HDDに圧縮ドライブを設置したい場合。
「FAT32」は、MS-DOSから見ることはできませんから、MS-DOS起動ディスクでパソコンを立ち上げても、HDDの中身を見ることはできなくなります。
また、WindowsNTで採用されているファイルシステム「NTFS(New Technology File System)」と「FAT32」は、全く互換性がないので、
互いの内容を読むことはできません。WindowsNTでも同じHDDの内容を参照する場合は、「FAT16」のままにしておく必要があります。
さらに、HDD内のデータを圧縮することで、HDD容量を増やす(増えたように見せかける)「ドライブスペース」は、「FAT32」には対応していません。
ですから、その場合も「FAT16」のままにしておかなくてはなりません。
(注意)「ドライブスペース」が対応していないだけで、データの圧縮ができなくなるというわけではありません。念のため。
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- ●「FAT32」を元に戻したい場合
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上記で述べたとおり、コンバータを利用して「FAT32」に変更した場合、元に戻すことはできません。
これは、Windows98に「FAT32」から「FAT16」へ戻す作業を行うコンバータは付属していないためです。
もし、どうしても「FAT16」へ戻したい場合は、市販のFATを自由に扱えるユーティリティを利用する必要があります。
以下に、FATを自由に操作できるソフトウェアを2本紹介しておきます。おそらく他にも存在すると思います。
- ◆「 Partition Magic V3 」
- 発売会社: ネットジャパン
製品定価: \15,000円
製品名の通り、このソフトは、ハードディスクのパーティションをフォーマットすることなく自由に切り直したりできるソフトです。
「FAT16」と「FAT32」の相互変換が可能なので、このソフトで「FAT16」へ戻すことができます。
価格は高めですが、操作は難しくなく、特に専門知識を必要とせずに扱えるようです。
- ◆「 SYSTEM COMMANDER4 」
- 発売会社: ソフトボート
製品定価: \12,800円
このソフトウェアは、Win98と95の共存に関する記事のページで紹介しているソフトウェアです。
このソフトは、非常にできることが多いのが特徴です。もちろん、ファイルシステムの変換も可能です。
しかし、使用にあたっては、高度な知識が必要になってくるので、自信がない場合は、お勧めできません。
※ここで紹介したソフト以外に、FATの変換を行うことのできるソフトウェアをご存じの方は、ぜひメールでお教え下さい。
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- ●リムーバブルメディアのサポート
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ZIPドライブや、SuperDisk(LS-120)などが、標準でサポートされるようになります。
CD-RWやDVD用の「UDF(Universal Disk Format)」をサポートし、DVD-VideoやDVD-ROMなどに対応します。(※DVDに関しては、下記を参照。)
また、全てのリムーバブルメディア(フロッピーは別扱い)で、ライトキャッシュが可能になります。
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- ●DVD・MPEGに関して
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Windows98で標準サポートされたのは、DVD-ROMとDVD-Videoの2種類です。
ですが、Windows98では、MPEG2のデコード機能は搭載されていません。
DVD-Videoは、MPEG2を用いて圧縮されていますので、専用のハードウェアを使用する必要があります。
Windows98では、MPEG2のソフトウェアデコードをサポートする方向で進んでいたようですが、
最終的にライセンスの問題で、Windows98の発売には間に合わなかったようです。
ただし、今後マイクロソフトから、ソフトウェアMPEG2デコーダが配布される可能性はあります。
しかし、MPEG2のソフトウェアデコードは、相当なCPUパワーを必要とし、PentiumU-400MHz程度のCPUが必要です。
Windows98では搭載が見送られたソフトウェアデコードですが、市販のソフトウェアデコーダを使えば、ソフトウェア再生が可能です。
Mediamatics社の「DVD Express」や、ランドコンピュータ社の「SoftDVD」などがあります。
なお、DVD-RAMに関しては、Windows98での読み出しは可能ですが、書き込みは標準サポートされていませんので、デバイスドライバが必要です。
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