18時49分23秒 [ATOK]
Googleがβ版を無償公開した日本語入力機能「Google日本語入力」が話題ですね。
日本語入力機能までも無料で公開されたことは確かに驚きです。JUSTSYSTEMの株価は大丈夫か?のような話も出ていましたが、ちょっと待って下さい。ATOKの高機能さを忘れていませんかっ。
というわけで、ATOK信者の私が(笑)、軽くATOKの利点について語ってみます。
日本語入力機能ってのは、何も変換するだけが用途ではありません。
特に文章を書く仕事をしている場合は、自分の書いた表現が「誤っていないかどうか」指摘してくれる校正支援機能も重要です。
上図は、「的を得る」と打ってしまった場合に表示される変換画面です。この表現は誤りであって、「的を射る」・「当を得る」のどちらかが正しい表現だと指摘してくれています。
(Google日本語入力では、「まとを」まで入力した時点で、「的を得る」という誤表現も推測変換候補に出てしまっていました。)
ATOKでは、「二重敬語」、「ら抜き表現」、「用法を誤りやすい単語」なんかをその都度指摘してくれます。これによって、『誤った日本語』を書いてしまう可能性を減らせます。
この話は、過去の日記でも書いています。
●頭いいぜ!ATOK… 「使い方を誤りやすい表現」(@2007年4月17日)
●[参考] ATOK公式サイトの校正支援機能解説ページ(@JUSTSYSTEM)
「Google日本語入力」では、ウェブ上にある文章群から変換候補の辞書を作成しているようですが(※それはそれですごいと思いますが)、その場合、「ウェブ上でたくさん使われている誤用」も辞書に含まれてしまうようです。(これに関しては、今後の課題として下記の記事で解説されていました。)
●【速攻レビュー】「Google 日本語入力」の脅威と課題 p.6
上記記事では、「シミュレーション」を「シュミレーション」としてもそのまま変換できてしまう例が紹介されています。ATOKであれば、下図のように指摘されます。
これらの誤用をそのまま変換候補として容認してしまうと、「変換できたんだから、そういう言葉が存在するんだろう」と思ってしまい、言葉の誤用をそのまま使ってしまうことに繋がらないでしょうか?
ウェブ上にある情報がすべて正しいわけではないですよね。
この点をどうやってカバーしていくかが課題だと思います。Google日本語入力。
まあ、カバーしなくても「MS-IMEよりは賢く使える」と言えるのかもしれませんが。(^_^;;;
しかし、この点をカバーしなければ、「ATOKより使える」とは言えないんじゃないかと思います。
「伺う」・「窺う」(共に読みは「うかがう」)のように、同じ読みで異なる単語について、それぞれの意味が何であるかを変換時に参照できます。
この表示があれば、漢字変換時に自分の表現したい意味がどちらなのかを判断することで、正しい漢字を選択できます。
ATOKの場合、たとえば「広辞苑 for ATOK」や「知恵蔵 for ATOK」などの有料辞典を加えることで、(変換中に)その単語の説明を参照できます。有料ではありますが、市販されている辞典に掲載されている解説文章ですから、内容の信憑性は高いでしょう。単語や用語の意味を知るのに便利です。
(▲上は「広辞苑forATOK」、下は「知恵蔵 fot ATOK」で表示された用語の解説)
●広辞苑 for ATOKなどを入れた話(@日記)
●知恵蔵 for ATOKを入れた話(@日記)
ちなみに、「ATOKダイレクト」というオプション(無料のプラグイン)を使うことで、ネット上から解説を拾ってくる機能もあります。(ただ、その情報は正しいという保証はありませんが。)
http://www.atok.com/useful/valueup/direct/index.html
入力した単語に関連する単語を表示してくれる、連想変換候補を表示する機能は、文章を書くときにそこそこ役に立ちます。
以下は「楽しい」という単語の連想変換候補。「楽しい」の言い換え(対義語も含む)候補が表示されています。
「Google日本語入力」の目玉の1つとして紹介されている「先読み機能」ですが、変換候補を先読みする機能自体は、ATOKにもあります。(省入力変換候補機能)
例えば「かーど」と入力すると、以下のように先読みしてくれます。
この省入力候補は、私のATOKが調教された結果ですが。(笑)
「Google日本語入力」の場合は、複数の変換候補が最初からずらずらと出てくるようですけども、ATOKの場合は、自動的に表示される変換候補は1つだけです。ユーザが自ら[Tab]キーを押せば、他の候補が出てきます。
下図は「かーど」まで入力した時点で[Tab]キーを押した場合の例。
※上記の先読み候補では「カード犯罪」とか「カードーゾー」とかが出てますが、これは「百科事典マイペディア fot ATOK」に含まれる単語だからです。「カードーゾー」というのはアメリカの法律家の名前だそうです。(笑)
もっとも、この先読み候補は「既存の変換辞書」と「過去の変換履歴」から生成されるのであって、「Google日本語入力」のようにネットから拾ってくるわけではありません。
ネットから拾ってくるのが便利な場面も多々あるでしょうね。その点は、確かに「Google日本語入力」が便利な点だと思います。
ATOKにはこういう「正しい日本語に変換できる」「誤用を防げる」という大きな入力支援機能がありますよ!という話でした。
# まあ、ATOKは有料(7千円くらい)で販売されているソフトウェアなわけですけどもね。(^_^;;;
# この辺の機能をGoogle日本語入力が無料で補ってくれば、ATOKに対して脅威になるだろうとは思いますが。^^;
以下、ATOKの高機能さを解説したGIGAZINEの記事2本。
●高速で日本語がかしこくサクサク打てる「ATOK 2008 for Windows」、便利だった点をムービーで一挙解説(@GIGAZINE)
●MS-IMEから「ATOK 2009」に乗り換えて「これは使える!」と思った新機能トップ3(@GIGAZINE)
最近、地味に便利だと感じているのが、「でぃすかばりー」と入力して[F4]キーを押すと、「discovery」と英語変換してくれる機能です。(^_^;)
英語の読みは分かってるんだけどスペルが分からん!という場合(よくあります)に重宝します。「めたん」で「methane」とか、「りずむ」で「rhythm」とか、わりと想像しにくいスペルもこれで楽々です。
(※この機能は、MS-IMEにもあるらしいですが。)
ちなみに、「ジーニアス英和・和英辞典 for ATOK」が入っていれば、そのまま英単語の意味を調べることもできます。
(ジーニアスは、ATOKのプレミアム版には標準で入ってます。別途、辞書セットを買えば入手できます。)
ちなみに、ATOKの文章校正支援機能には、「指摘する(強)」、「指摘する」、「指摘しない」の3設定があって、デフォルトは「指摘する」です。
校正機能のすべてを活用しようと思うと校正支援機能の設定を「指摘する(強)」に変更しないといけません。まあ、文章を書くのが仕事でない限り、強に設定する必要はないでしょうけれども。(^_^;)
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